「相続した不動産を売却したいけど、どんな売却方法があるのか分からない」
「どの書類が必要なのか分からない」
相続した不動産の売却を検討している方は、上記のような悩みや疑問を持っている方も多いでしょう。
相続した不動産は状況によって売却の流れや必要な書類が異なり、売却後に後悔してしまう恐れがあります。そのため、事前に流れや必要な書類、利用できる制度を知っておくことが重要です。
そこで、本記事では相続した不動産の売却に関して、流れや必要な書類、利用できる制度などについて解説していきます。売却する際の注意点も紹介しているので、相続した不動産の売却を検討している方は参考にしてみてください。
相続した不動産を売却する流れ
まずは、不動産を相続し、売却するまでの流れを紹介します。
- 1.遺言書の有無を確認
- 2.遺産や債務の確認
- 3.遺産分割協議
- 4.名義変更
- 5.相続税の申告と納付
- 6.不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 7.売買契約を結ぶ
- 8.引渡し
- 9.確定申告
不動産の相続手続きには期限があります。3カ月以内に遺言書の有無や遺産・債務の有無を確認し、相続するのか、放棄するのか決めければいけません。相続税の申告と納付は10カ月以内に行うことが必要です。
続いて、相続する際の各手続きについて解説していきます。
相続の各手続きの期限
相続に関する手続きの期限は以下の通りです。
手続き | 内容 | 期限 |
---|---|---|
相続放棄 | 財産も負債もすべて放棄する | 相続開始を知った日から3カ月以内 |
限定承認 | 財産も負債もすべて相続する | 相続開始を知った日から3カ月以内 |
準確定申告 | 被相続人の1月1日から高いしたまでの所得を確定申告する | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 |
相続税の申告と納税 | 相続税を申告し、納付する | 相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内 |
遺産分割協議 | 相続人同士で遺産の分割方法を話し合う | 定めなし |
相続した不動産を売却するには、名義変更が必要です。原則、遺言書がある場合は、記載されている内容に従い名義変更を行います。
遺言書がない、かつ特定の相続人に引き継いでもらいたい時は、遺産分割協議を行います。この遺産分割協議には期限が定められていません。
不動産を売却し、相続税を納付する場合は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月までに現金化する必要があります。各手続きによって「相続開始を知った日から」「相続開始を知った日の翌日から」など条件が異なるので、気を付けましょう。
名義変更から売却までの流れ
遺言書や遺産分割協議を行い、相続人が決まったら、名義変更を行います。名義変更後から相続不動産の売却までの流れは以下の通りです。
- 1.名義変更
- 2.物件査定
- 3.媒介契約を結ぶ
- 4.売却活動スタート
- 5.売買契約を結ぶ
- 6.引渡し・残金決済
- 7.確定申告
相続した不動産の名義変更から引渡しまでは半年程度を見込んでおきましょう。買主がいつ現れるか分かりませんが、スムーズにいくと半年程度が目安です。
相続した不動産の名義変更に必要な書類
相続不動産の登記には、多くの書類が必要です。以下では、相続の状況別に必要な書類を紹介します。すべての状況に必要な書類は以下6つです。
- 登記申請書
- 相続関係説明図(任意)
- 相続に関する不動産の登記事項証明
- 被相続人の住民票(本籍地が記載されているもの)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 固定資産税評価証明書
状況によって必要な書類は以下の通りです。
状況 | 必要な書類 |
---|---|
遺言書がある場合 | 【被相続人が作成】 ・遺言書 【市区町村役所】 ・不動産を取得する相続人の戸籍謄本 ・不動産を取得する相続人の住民票 |
法定相続分を相続する場合 | 【市区町村役所】 ・法定相続人の戸籍謄本 ・法定相続人の住民票 |
遺産分割協議のもと相続する場合 | 【申請者が作成】 ・遺産分割協議書 【市区町村役所】 ・法定相続人全員の印鑑証明書 ・法定相続人全員の戸籍謄本 ・不動産を取得する相続人の住民票 |
その他、必要な書類がある場合もあるので、相続が分かったタイミングで確認しておきましょう。
名義変更の方法
相続不動産の売却は売主を明確に示すために、名義変更が必要です。名義変更は2024年4月に義務化されています。これは、所有者不明土地問題を解決するためでもあります。
名義変更の方法は『法定相続』『遺言による相続』『遺産分割協議による分割』によって異なります。それぞれについては以下の通りです。
状況 | 内容 | 向いているケース |
---|---|---|
法定相続 | 法定相続割合で共有のまま名義変更を行う | ・相続不動産を売却し、現金を相続人で公平に分けたい場合 |
遺言による相続 | ・遺言書がある場合に有効 ・遺言に従って名義変更を行う | ー |
遺産分割協議による相続 | 相続後に相続人同士で分割方法を決める話し合いを行う | ・遺言書がなく法定相続以外の方法で分割したい場合 ・遺言書がある場合に、遺言書とは異なる方法で分割したい場合 |
遺産分割協議は、相続人全員の同意を得ないと成立しないので、覚えておきましょう。
不動産売却に必要な書類
相続不動産を売却する際、売主は必要な書類を揃えておく必要があります。売却をスムーズにするためにも、早いうちに探しておきましょう。特に、境界線が明確でない場合は測量してから売却するため、早めの準備が必要です。
▼全ての不動産に必要な書類
- 登記簿謄本または登記事項証明書
- 売買契約書
- 物件購入時の重要事項説明書
- 登記済権利書または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
▼一戸建て、土地に必要な書類
- 土地測量図・境界確認書
▼マンション・一戸建てに必要な書類
- 物件の図面
- 設備の仕様書
- 耐震診断報告書
- アスベスト使用調査報告書
上記の書類以外にも、必要な書類が求められる場合もあるため、依頼する不動産会社が決まったら、事前に確認しておきましょう。
また、相続不動産を共有名義で売却する際は、相続者全員分の実印、印鑑証明書、本人確認書類が必要です。契約に立ち会えない人がいる場合は、委任状の作成が必要なので注意してください。
相続した不動産の売却で発生する費用と税金
相続した不動産の売却で発生する費用や税金には以下のようなものがあります。
費用や税金 | 内容 | 金額 |
---|---|---|
印紙税 | 売買契約書などの課税文書に課される税金 | 1,000円~6万円 ※契約金額によって異なる |
譲渡所得税 | 住民税と所得税をまとめたもの。不動産売却による利益に課税される | 【短期譲渡所得(所有期間が5年以下)】 売却価格×30% 【長期譲渡所得(5年超の所有期間)】 売却価格×15% |
消費税 | 仲介手数料などに課税 | 現行の税率 |
仲介手数料 | 不動産会社に報酬として支払う | 【400万円を超える場合】 売却価格×3%+6万円 |
その他費用 | ・被相続人の戸籍謄本発行費用 ・相続人の戸籍謄本や住民票、印鑑証明書の発行 ・不動産登記事項証明書発行費用 ・固定資産税評価証明書発行 ・ハウスクリーニング費用 ・測量費 ・解体費用 ・税理士費用など | 被相続人の戸籍謄本発行費用:450円 相続人の戸籍謄本や住民票、印鑑証明書の発行:300~450円 不動産登記事項証明書発行費用:600円 固定資産税評価証明書発行:400円 ハウスクリーニング費用:3~10万円 測量費:50~80万円 解体費用:100~300万円 |
印紙税は、令和6年3月31日までに契約すると、軽減税率が適用されます。譲渡所得税に関しても、10年を超える不動産の場合は軽減税率が適用されるので、条件に当てはまる方は確認しておきましょう。
売却の状況によって必要な費用が異なるため、上記で紹介した全ての費用が発生する訳ではありません。どの費用や税金が発生するのか知りたい場合は、売却を依頼した不動産会社に聞きましょう。
相続した不動産の売却にかかる税金は相続人全員で支払う
相続した不動産の売却にかかる税金は、相続人全員で支払います。
財産を現金化し、分割する換価分割を行う場合は代表者が相続登記を行い、登録免許税や印紙税などを立て替えたうえで分割する際に相殺するのが一般的です。譲渡所得税に関しては各相続人が確定申告を行い、納付します。
相続不動産の売却が確定している際は、「いくらで売却できるのか」を知るために、売却価格の査定をしておくと良いでしょう。その際、査定依頼先は1社に絞るのではなく、3〜5つの複数社に同時に査定を依頼し、1番良い会社を選びましょう。
相続した不動産の売却で利用できる特別控除
相続した不動産を売却する際は、特別控除を利用できるケースがあります。上手く活用することで費用を抑えられるため、事前に利用できる特別控除や適用条件の確認が必要です。
特別控除 | 内容 | 適用条件 |
---|---|---|
居住用財産の3,000万円特別控除 | 個人が居住用財産を売却し、一定の要件を満たした場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除される | ・居住している家屋、または家屋共に敷地や借地権を売却 ・家屋を解体した場合、売却まで居住以外に使用していない ・解体した日から1年以内に売却契約を結ぶ ・居住しなくなってから、3年目の12月末までに売却する ・売主と買主が親子や夫婦などの関係ではない ・売却した時に住宅ローン控除を受けていない |
相続空き家の3,000万円特別控除 | 被相続人が1人で住んでいた建物およびその敷地を相続により取得し、その空き家を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除される | ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋 ・マンションではない ・売却時の耐震基準に適合している ・相続開始直前まで被相続人が居住していた ・相続開始直前に被相続人以外で居住した者がいないこと ・これまで人に貸していないこと ・相続日から3年目の12月末日までに売却する ・平成28年4月1日から令和5年12月31日までに売却する ・売却価格が1億円以下 |
取得費加算の特例 | 家を相続した日から3年10カ月以内に譲渡した場合、譲渡所得税から一定の額を差し引ける特例 | ・相続または遺贈によって取得した ・相続時に相続税を納付している ・相続開始日の翌日から3年10カ月以内に売却 |
小規模住宅等の特例 | 面積が330㎡までの宅地を売却する際、条件に当てはまれば値の評価額を80%減額できる特例 | ・相続した子が相続の3年前までに自己所有の家屋に住んでいない ・被相続人(親)に配偶者や同居の親族がいない ・土地を相続税の申告期限までに所有している ・家を持たず、賃貸住宅に住んでいる子などが相続した |
上記以外にも自治体によって利用できる特別控除があります。売却を検討する際は、事前にどの控除が利用できるのか確認しておきましょう。
特別控除の詳細や適用条件は国や自治体のホームページに記載されています。見ても分からないという場合は、不動産会社に教えてもらいましょう。
併用できない特例に注意
相続不動産を売却する際、併用できるものとできないものがあるため、注意しましょう。
上記は、国税庁のホームページで記載されているものです。相続不動産を売却する際は目を通しておきましょう。
相続した不動産を売却する際の6つの注意点
相続不動産を売却する際の注意点は以下6つ挙げられます。
- ①複数の会社に査定を依頼する
- ②単独登記型は贈与とみなされる場合がある
- ③相続した家に住む場合と住まない場合で税金特例が異なる
- ④売却期限の目安は3年以内
- ⑤取得費は親の購入額を引き継ぐ
- ⑥所有期間は親の購入費を引き継ぐ
下記で詳しく解説していくので、後悔が残る売却にならないよう、把握しておきましょう。
①複数の会社に査定を依頼する
相続不動産を売却する際は、適正価格でスムーズに買い手を探して漏れる不動産会社を見つけましょう。
相続不動産には、相続税の納税や特例を使える時期には期限が定められています。期限内にスムーズに売却するためには、売却に慣れた不動産会社に依頼するのがおすすめです。
また、査定をして提示される額は不動産会社によって異なります。そのため、複数の会社に依頼し、査定額や売却活動の内容、スタッフの人柄などを加味して依頼する不動産会社を選びましょう。
②単独登記型は贈与になる場合がある
換価分割という遺産分割方法があります。これは相続財産をお金に監禁し、相続人が分割する方法です。換価分割には、税負担を軽減する効果があります。この換価分割は以下2種類ありまます。
- 共同登記型:複数の相続人で不動産を共有したまま売却する。法定相続に分類
- 単独登記型:不動産を特定の相続人が単独所有し、売却後にそのお金を他の相続人に分配する。遺産分割協議に分類
単独登記型は意思決定をしやすく、所有者本人だけで売却手続きができるのがメリットです。しかし、単独登記型で不動産を売却し、所有者が受け取った現金を他の相続人に分配すると、贈与行為と見なされる恐れがあります。
お金の分配が贈与とみなされないよう対策が必要です。遺産分割協議書に換価分割目的で遺産を取得することを明記しておきましょう。
③相続した家に住む場合と住まない場合で税金特例が異なる
相続した親の家に相続人が住むと利用できる特例が複数あるため、売却時の税金が節税できます。対して、相続した親の家に相続人が住まないと利用できる特例が減るため、売却時の税金を節税しにくいです。
親の家に継いで子が住み、その家を売却する場合はマイホーム売却と同じ扱いです。マイホームの売却は、なるべく税金を発生させない政策的な配慮があるため、利用できる複数の節税特例があります。
一定の要件を満たすと以下5つの特例を利用できます。
- 3,000万円特別控除
- 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換え特例
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
対して、相続した親の家に相続人が住まない場合、以下2つの特例が利用できます。
- 取得費加算の特例
- 相続空き家の3,000万円特別控除
このように、利用できる特例が異なるため、どちらに当てはまるのか確認しておきましょう。
④売却期限の目安は3年以内
相続不動産の売却期間は3年以内が目安です。なぜなら、相続不動産で利用できる特例の期限が3年を目安に設定されているからです。
- 取得費加算の特例:相続が開始された日の翌日から3年10カ月以内
- 相続空き家の3,000万円特別控除:相続が開始された日以後、3年を経過する年の12月31日まで
上記の特例の期限は3年を過ぎても間に合います。ただ、不動産の名義変更から引渡しまで半年以上かかるため、3年以内を目安に売却すると安心です。
⑤取得費は親の購入額を引き継ぐ
相続不動産を個人が売却する場合、『譲渡価額ー取得費ー譲渡費用=譲渡所得』で譲渡所得を計算します。
取得費とは、売却不動産を取得した際の購入代金と、維持管理費などを含めた費用です。相続不動産における取得費は、被相続人の購入額を引き継ぎます。
相続不動産を売却する際は、親が不動産を購入した売買契約書から、所得費を明確にすることが必要です。
⑥所有期間は親の購入費を引き継ぐ
相続不動産の所有期間は、親が不動産を購入した日を引き継ぎます。譲渡所得が発生した場合、税金は譲渡所得に税率を課して求めます。
税率は所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得となります。
所有期間が長いほど税率は低く、節税できる点に注目です。所有期間が5年超の物件を相続したら、相続後すぐに売却しても、長期譲渡所得の税率が適用されます。
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項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | アドバンスライフ有限会社 |
設立年月日 | 1990年4月6日 |
所在地 | 東京都世田谷区三軒茶屋1-39-7 ショッピングプラザベルアージュ102 |
公式サイト | https://advance-l.net |
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まとめ
本記事では、相続不動産の売却に関して、流れや必要な書類、売却する際の注意点などについて解説しました。
相続不動産の売却は状況によって売却の流れや必要書類が変わるため、事前に把握しておくことが大切です。また、上記では、相続不動産の売却で利用できる制度についても紹介しています。利用することで、売却にかかる費用を抑えられるため、確認しておきましょう。
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